33000フィートにて

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技術の粋を集めたジェット旅客機の中でも出るモノは出る!!

【怖い話】33000フィートで

33000フィートにて

私は、飛行機が好きだ。

乗るのも、見るのも好きだ。

近代化の代名詞のような空を飛ぶ乗り物、飛行機。

そんな乗り物の中で、奇妙な体験をしたことがある。

仕事で東京へ行くことになった。

夜の便で、離陸後、窓の外から見える街の灯りが美しい。

東京までなんて、あっという間である。

海外旅行でもなければ、心ゆくまで飛んでいることは出来ない。

通常飛行になって、シートベルトを外し、やれやれとゆっくりしていた。

よく晴れた夜で、実に穏やかなコンディションであった。

平日でもあってか搭乗者数は少なく、忙しなげなビジネスマンらしき男女が、機内で仕事を始めていた。

私は、温かい飲み物をエアアテンダントからもらって、少しでも休んでおこうと目を閉じた。

あのですね・・・、

「はい?」

私は、誰かに呼びかけられて返事をした。

だが、誰もいない。

はて、寝ぼけたか?

いやいや、それにしては、目を閉じてすぐであった。

まあ、いいや、と、もう一度目を閉じた。

しかし。

あの・・・。

まただ。

「はい」

やはり、誰もいない。

薄暗い機内には、仕事の虫たちがたてる微かな音しかしない。

なんだか、眠る気が失せたので、座席に配られている機内誌を手にして開いた。

あの、あのですね・・・

さすがに、ぞわっとした。

耳のすぐそばで、囁かれたような気がしたからだ。

私は、滑稽なくらいにびくっとして声のした方を見た。

誰もいない、であったらよかった。

いた。

誰かが、いた。

地味な黒縁メガネをかけ、さえないグレーのスーツを着た中年男が無表情で狭い通路に立っている。

こいつか、こいつが、声の主か?

私は、一寸ムッとした顔になっていたと思う。

見下ろすような目線が気に入らない。

「なんですか?」

中年男は、いきなり、へらっと笑った。

極めて不気味であった。

あの・・・、あのですね・・・。

ヤバい。

私は、ようやく気がついた。

声がするのに、口がまったく動いていない。

私が気がついた事をわかったかのように、中年男の全身から水がボタボタと滴り始めた。

いや、今まさに頭上から水をかけられているかのように、ずぶ濡れになった。

なんだ、これっ!!

青白い手が私の顔に向かって伸びてきた。

ひんやりとした湿った空気を感じた。

うぇっ!

腐った水の臭いがした。

私の鳥肌は総立ちになり、声は喉で閉められたかのように詰まっていた。

白蠟のような指先が、今しも私の鼻先に触れようかとした時、救いの女神が登場した。

銀色のワゴンで、不気味な中年男を跳ね飛ばしてくださった女神は、私にニッコリと美しく微笑んだ。

「お客様、お飲み物のお代わりはいかがですか?」

脱力と安堵で声が震えた。

「あ、あの、コーヒー、お代わり」

「かしこまりました」

女神が淹れてくれたコーヒーの美味かったこと。

ただ。

「あら」

女神は、怪訝そうな顔になられた。

「お客様、何かご不便はございませんでしたか?」

「はい?」

あの中年男が立っていた辺りのカーペットが、黒々と濡れている。

踏むとじわっと水が浮き出るほどに。

女神は、丁寧に頭を下げ、カーペットの掃除を始めた。

機内で雨漏りなどあるはずもなく、それでなくても窓の外は晴天の夜。

私の鼻腔には、不快な腐臭が染み付いたままだった。

脳裏には、不気味すぎるへらへら笑い。

結局、着陸するまで一睡もできなかった。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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