おでん伝 – お守りおでん – 劇団椿楼 – 高橋 克昌

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おでん伝

今日は皆大好きおでん伝!!
劇団椿楼の劇団椿楼 – 高橋 克昌 様に朗読していただきました!!

【怖い話】おでん伝 – お守りおでん – 劇団椿楼 – 高橋 克昌

「おでん伝・お守りおでん」

動物大好きのE君と、その相棒、横綱メタボのキジ猫、おでん。

おでんはなぁ、ただの太った大猫やないんやで、とはE君の断言。

「おでんは、わいのお守りやねん!」

E君は、モリモリといつまでも育ち盛りのような大食であり続けているおでんのためなら、自分は水だけで過ごしてしまうような男だ。

まあ、不気味なストーカー女から襲われた時も、身を呈してE君を守ったおでんである。

決して豊かではない家計をやりくりしつつ、一人と一匹は、慎ましく生きていた。

だが。

「あかんわ! もう、1円もない!」

この話の始まりは、E君が、なけなしの私に助けを求めてきた時の話。

「ん~、私もなけなし、に近い。明日にはそうなる」

助けてやりたいが、実際、私にも中身のない財布しかなかったのだ。

「わいはええんや、わいはええんやけどな、おでんが腹空かせてるんや! 給料日までてええから、金、貸してくれ!」

どうして、なけなしな私のところへ来たのか。

まあ、この理由を他の誰かに言ったとしたら、馬鹿野郎!と一喝されかねないだろう。

「しようがない」

私は、涙目のE君と、大切な相方、おでんを見放せなかった。

本当に死にかかった時のために、と一張羅の、バーバリーのコートをE君に渡した。

「これ、私の隠し財産」

E君は、泣きの涙で、コートを受け取った。

「ごめん!  すまん!  流されんうちに取り戻してくるねんから!」

まあまあ、私はまったく期待していなかった。

それに、幾らで引き取ってもらえるかもわからなかったし。

E君は、律儀すぎる男であった。

コートを渡したその日の夕方、慌てて私のところへやって来た。

「ああ、売れた? それとも、服なんて二束三文かな?」

なんと、E君は、渡したコートと、財布から一万円札を取り出して、私に差し出した。

「あれ、持ってかなかったの?」

「質屋には行かへんやった」

「え?! じゃあ、このお金、どうしたの?!」

E君は、パアッと破顔して笑った。

「おでんや!」

「はぃ?」

「おでんが、助けてくれたんや!」

E君が、私からコートを受け取って、質屋に行こうとしていた時、おでんが妙なものを咥えているのを見た。

「おでん、なんぼ腹が減ったからって、変なもの食べたらいけへん!」

E君は、おでんが空腹のあまり、変なものを食べようとしていると思ったらしい。しかし、おでんは、咥えていた物をE君の足元に持って来た。

「なんや、これ?!」

黒く汚れた袋で、おでんが開けようとしたのか、ボツボツ穴があき、ビリッと裂かれた箇所もある。

「あ~あ、なんや、これ」

何気にE君は、その薄汚れた袋の口を開けてみた。

袋の中には、なぜか湿って汚い靴下の片一方が入っていたらしい。

「なんや、これ、おでん、どこから拾って来よっんたや!」

その汚い袋をゴミ箱に捨てても、捨てても、おでんは拾って来た。

E君は、おでんが懸命に何かを言いたがってるような気がしたらしい。

「わかった、わかったて」

E君は、袋の中から汚い靴下を出して、調べてみた。

「お・・、な!! なんや!!」

なんと、小さく小さくたたまれた一万円札が、コロコロと三つも出て来たと言う。

私はE君が、何か犯罪でも仕出かして、それで金を手に入れたはいいが、私に、出鱈目な言い訳をしているのか、とも、疑った。

しかし。

E君は、与作と同じで、嘘をつくような男ではない。

ただ、信じられるか、そんなこと。

「大事なコート、俺に渡してくれた恩返しや、受け取ってくれ」

なんという、律儀な男か。

確かに、渡された一万円札には、これでもかっというほど折り目がたくさんついていた。

「おでんは、俺のお守りさんや!」

たしかに、言えている。

おでんは箱入りの屋内飼いである。

いったい、どこから持って来たやら。

みんなに言わせれば。

「Eの奴、部屋のどこかに隠しといの忘れてたんじゃねぇの!」

まあ、それも一理ある。

しかし、E君の性格上、金をどこに隠したかわからないなど、おでんが金を持って来た以上に、信じられない。

そして、E君は、二万七千円分、全ておでんの飯を購入。

残りの三千円で給料日まで乗り切った。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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