バットトリップ その一

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今日お話はかなりヤバいお話だよ・・・。

【怖い話】バットトリップ その一

バットトリップ その一

ヤク中というのは、と、まあ突然の言い出しであるが。

精神的快楽のために、よろしくない薬物を利用した挙句、やめられなくなってしまうと言う、あれだ。

薬剤が原因の副作用は、ある一定の不快な症状が出る人もいるが、絶対的に同じ症状が出るとは限らないらしい。

この話は、1998年 5月のこと。

どうして、明確に記憶しているか、というと最悪な結果になったからである。

長いこと、占い師を営んでいると、様々なお客様と出会う。

馴染みのお客様からの紹介も、よくある、ありがたい話なのだが。

T君は、疲労困憊の色濃い母親に連れられてきた。

青ざめた顔色、痩せこけた頬、腕や首は、掻き毟った痕だらけ、時折、びくりっとして、あらぬ方向を見る・・・。

観察するだに、占い師の鑑定でなんとかなる事態ではない。

いい精神科の紹介で終わりそうな気がしたが。

「へ・・・?!」

鑑定内容が、かなり困った内容だった。

T君は、違法薬物を使用したと言う。

おいおい、来る場所が違うだろう。

医者ではなく、弁護士の紹介になるのか。

なるほど、この尋常ではない風情は、薬物のせいなのか。

と、思ったが・・・・。

母親の話だと、T君の覚醒剤の使用回数は、3~4回だという。

いやいや、そんな回数で、この有様にはならないだろう。

母親として、我が子を信じたいのはわかるが、3~4回で、こんな状態にはならないのではないか。

虚偽か、真実かはわからないが、T君の場合、覚醒剤を使用しても、多幸感や高揚感はないらしい。

なんと言うか、その真逆で薬が効いている間中、恐ろしい幻覚に襲われる。

薬が切れるまで、押入れの中やトイレに逃げ込み、がたがた震えていたと言う。

「T君」

T君は、ぎょろっとした目を私に向けた。

人間を見る目ではなかった。

「T君よ、薬を使ったら、何が見えるの?」

口からではなく、筋張った喉の奥から、 嗄れ声が絞り出されて来た。

「化けもん」

化けもん……ねぇ……。

つまり、ひどいバッドトリップをしてしまったのだろう。

“ぶっ飛ばない”し、楽しくも、気持ち良さもなく、そら恐ろしい幻覚に襲われたのだ。

しかし、何度もバッド・トリップになってしまうものなのだろうか。

「T君、怖いんなら、なぜ、またやるのよ。 薬、やったら、出てくるんでしょ?」

T君の顔色は、蒼褪めを通り越した。

ぞわぞわと土黄色になり、乾いた頬に、涙がどっと流れた。

血走って、黄色く濁った眼球が震えている。

「やらんでも、来る!」

「はい・・・?」

T君の母親も、T君に負けず劣らずの顔色になり、 私に縋り付くような眼差しを向けた。

「私も、見たとです・・・」

T君の母親は、震えているが、しっかりとした口調で言った。

私のところへ来る切っ掛けというのが、二週間ほど前。

どたんっ! だんっ!! どどどっ!と、大きな音がしたので、 驚いて部屋を出ると、階段の下でT君がうずくまっていた。

母親は、慌ててT君に走り寄った。

「なんしよんね、あんた!」

足でも踏み外したのかと、階段の上を見上げた時、T君が落下した理由がわかった。

右腕、左腕に、汚らしい包帯を肩までぐるぐると巻き付け、ねっとりした長い黒髪。

醜怪で枯れ木のように痩せさらばえた女が、口を奇妙に、ぐねぐねと歪めながら笑って、親子を見下ろしていた。

“ぁあ・・・、ほぉ・・・ぼぉ~・・・”

“あぁ~・・・、ほぉ・・・ぼぉ~・・・”

くぐもった嫌な声が何か言っているらしいがわからない。

あまりの不気味さに、目を逸らしたいが、体が動かずそのまま気が遠くなって倒れた。

母親は、T君の部屋から、デスクや棚、全てを廃棄。

その中から発見した使いかけの覚醒剤も流し台に捨てた。

自分が見たのは、パニックに陥ったせいで、幻覚を見た、息子の精神的な混乱は、覚醒剤のせいだ、と信じての行動である。

しかし、T君は、連日連夜、恐怖の叫び声をあげては、押入れの中の布団の間に逃げ込み、目と耳を塞いで、恐怖から逃げるようになった。

霊視の結果としては、親子の自宅に憑いていたとは思えなかった。

何処かから連れ帰ってしまった一時的な憑依か?

今の今まで、その手の話とは無縁で、どちらかといえば、懐疑的な方だったという。

覚醒剤によって開かれてしまったT君の精神に、質の悪い”化け物”が潜り込んだのか。

“そんなこと、あるのか?”

まあ、どちらにしろ、何某かの物理的治療も必要と見た。

私は、T君の母親の許可を得て、知り合いの病院に連絡を取り、“幻覚の症状がひどいようだ”と伝えて、その日の午後一で、診てもらえる事になった。

精神科のドクターに、霊がどうのこうのなんて、言っても仕方がない。

正直なところ、子を思う母親の証言を信じ難かった。

覚醒剤使用は、3~4回ではないだろう。

安易ではあるが、覚醒剤によって、T君が心身ともに無防備にならなければ、恐怖は訪れない、と仮定した。

そして、後々、大後悔する事になる。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
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約束だよ!!

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