バッドトリップ-その二

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今日は昨日の続きだよー!

【怖い話】バッドトリップ-その2

バッドトリップ-その二

「サリーちゃん、あれ、なんだよ」

T君親子に紹介した大学病院のドクターから、電話がかかってきた。

「なんだよって、やっぱり、ヤク中だった?」

意外すぎる返答が来た。

「一応、血液検査とかさ、一通りやったんだけどさ」

「うん」

「陰性だよ」

「は・・・?!」

がっつりと狐に抓まれた。

「陰性! 薬物反応なし! 栄養失調気味かなってくらいでさ、血圧とかも正常よ!」

「ん~、じゃあ、その、なんていうか」

「ああ、メンタルのチェックもやったよ」

「それは? どう?」

「う~~ん、まあ、ね、ストレス要因の一過性鬱? かな?」

「かなって、なんですか、かなって」

一体、どうなっているのか。

あの衰弱っぷりが忘れられていない私には、 見当がつかなかった。

T君は、クスリはやっていなかったわけだ。

母親が部屋で発見したというのも、何かの勘違いか、それとも、所持だけして、摂取しなかったか。

「ただ、さ」

「ただ?」

「はぁ、まあね、傷跡は、けっこうあったんだよね」

「うん、それは私も見た」

「うん、それなんよね」

少しイラついてきた。

何か、言い渋っているのは確かだ。

「傷の方向がおかしいんだよね」

「方向?」

「ああ、うん、まあね~、あれだとさ、自傷じゃないね」

ドクター曰く。

あれは、誰かに引っ掻かれた傷だ、という。

私のところに来た時は乾いた傷跡であったが、ドクターが診療した時は細菌感染を起こしていたという。

不潔な刃物か、そのような何かで、何度も引っ掻枯れたとしか思えないらしい。

ドクターは、念のために、母親の爪の細菌検査もしたと言った。

「うそだ~、母親がやった可能性あり?」

「いや、違ってた。実は最初はそう思ったけど」

「はぁ~、そっか」

「でも、さ」

ドクターは、冗談めかしてではなく、 大真面目な声で言った。

「これって、俺の領域じゃねぇんじゃね?」

いやいや、こっちは、ヤク中だとばかり思っていたのだ。

「どうして、そう思う?」

「う~ん」

短い付き合いでは無いので、確証がない予測を言いたくないのだろう、ということはわかった。

T君は、薬物中毒ではなかった。

自傷癖もなかった。

母親の虐待でもなかった。

全く、説明がつかないではないか。

T君が幻覚を見る理由が見当たらない。

誰がT君を不衛生な何かで傷つけたのか。

そして、T君親子が見た、と言っている。

確証はないまでも、見たと言っている、あの、恐ろしい”化けもん”は・・・。

答えは出ないまま、1年半が過ぎた。

精神科のドクターから、久方ぶりに連絡があった。

色々と覚えてはいたが、想像する以外は、何の答えも出ていない。

「サリーちゃん、T君のお母さん、自殺して亡くなったよ」

「え?! お母さんが?」

T君ではなく、母親の方が、自殺してしまった。

T君は、精神科に入院していたそうであるが、毎日のように面会に来ていた母親が、パッタリと来なくなった。

気になったナースが、T君に聞いた。

「最近、お母さん、いらっしゃらないけど大丈夫かな」

T君は、ナースをしら・・・、と見上げ、奇妙で歪んだ不気味な笑みを浮かべて言ったそうだ。

「あの婆、死んだよ」

気味の悪いことを言う、とナースたちから敬遠されていたらしいが、事実母親は、ドアの取っ手に捻ったタオルを掛け、首を吊った。

“あのばばぁ、死んだよ”

T君の精神は、日に日に後退していっていると言う。

母親の自死を知る由も無いはずだが、T君は、わかっていたかのように、それも、歪んだ笑みを浮かべて言った。

今でも、聞きたいことがあるとしたら、T君が見せた笑みは、もしかして、”化けもん”の笑みと同じではなかったか、だ。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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