真っ黒い子供

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サリーさんが体験した怪談だよー!!

真っ黒い子供

真っ黒い子供

これは、某市役所での話だ。

 私は出版会社に就職したばかりで、先輩と一緒に得意先回りをしていた。件の某市役所は、けっこうな田舎で田園の只中に、ドォーンと建っている。そこは昭和の地方ではありがちな不相応に立派な庁舎だった。

 初めて議会事務局を訪ねた時だった。まだ着慣れていないスーツで肩が凝っていた事を覚えている。受付で挨拶を済ませ、先輩と一緒にエレベーターに乗る。

 私は、何気に先輩が六階のボタンを押したのを見た。グーンとエレベーターが上昇していく。蛍光灯に照らされたボックス内が妙に白々しい。

 ガコン。

 外見からして、そんなに古くもない建物だと思っていたのだが、エレベーターは大げさな機械音を立てて止まった。

 ん……。

 中々ドアが開かない。先輩も、エレベーターのドアの上にある階数表示を見上げた。

「開かない、ね……」

 先輩が、ボソリと言った。数秒の沈黙後、私は言い知れぬ不安に襲われる。なんでそうしようと思ったかはわからないが、反射的に非常用のボタンを押しかけた。

 すると、ようやく、ドアが開き始める。

 おっと……。

 ボタンを押そうとしていた私は、慌てて動作を止めた。端から見ればドアが開いたことに驚き、ビクッと体を震わせたように見えたかもしれない。

 先輩はドアが開くことで、ホッとしたのだろう。私の方を向いて表情を和らげる。

 二人してゆっくりと。必要以上にゆっくりと開くエレベーターのドアの向こうを見る。

 次の瞬間。二人して凍りついていった。

 開いたドアの向こうは、昼間だというのに真っ暗だった。

 森閑とした、冷たく暗い廊下が向こうまで続いている。

 プンとカビ臭さを感じた。

 私は、掌で勢いよく、エレベーターの閉ボタンを叩いた。

 ドアは勢いよく閉まった。閉まってくれた。

 ガコン。

 エレベーターが下りはじめる。一階に着いて、そそくさと降りた。何が起こったのか、わからない。しばらく二人とも黙ったまま、ロビーのソファに座っていた。

 真昼間の市庁舎である。夜より暗い廊下などは無いだろう。ならば、二人して見たものは何だったというのだろう。私は怖くなってエレベータのドアを閉めたがあれで良かったのか ? そろそろ何か話そうかと思ったときだ。

「ねぇ」

 先輩が、先に言葉を出した。

「はい」

 先輩の顔色は、すうっと青褪めていた。きっと私の顔色も似たり寄ったりのはずだ。

「あの、真っ黒い子供、見た?」

「へ ?」

 先輩はあの暗いフロアの廊下に、真っ黒い影のような子供が立っていたと言う。私には、見えなかった。真っ黒い子供は、ジッと此方を見ていたらしい。

「それでさ……今、思い出したけど」

「はい ?」

 先輩は、泣きそうな顔になった。

「ここ、5階までしかない」

 え……。

 私は先輩が六階のボタンを押しているところを、はっきりと記憶していた。

「議会事務局は、最上階って覚えててね。だから最上階のボタン押した……」

 全くわからない。

 私たちは、何処で何を見たのだろう ?

上記のテキストは、Youtubeで朗読している口語文とはちょっと違います

m(__)m

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