サーキット

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サリーさんの体験したお話だよー

サーキット

サーキット

バイクが大好きなF君は、仕事が休みの日には、当然のようにサーキットに出掛けていた。

あれは、忘れもしない9月22日。

彼は、まったく、何の変哲もない、まっすぐなラインで、派手な転倒事故を起こした。

右足の粉砕骨折、胸部強打、右腕の複雑骨折。

何の障壁も、障害もないサーキットで、如何なる派手な転倒をすれば、そこまでの大怪我をしてしまうのか?

当の本人は、なかなかの重傷のわりに、意識は明確。

痛みはひどいらしいが、至って元気であった。

しかし。

「おかしい・・・」

「何が ?」

F君は、ベッドの上で言いつづけた。

「おかしいんだよ」

「だから、何が ?」

何度か見舞いに行ったが、その都度、何かを言い掛けては黙り込む。

見舞に来た者たちは、一様に、F君は何を言いたいのか?と噂していた。

三ヶ月少々の入院中、けっきょく、F君は、何がおかしいのかを話さなかった。

退院後、自宅療養も、1週間が過ぎようとした頃。

電話がかかってきた。

「なぁ、あのさ」

「何 ?」

私は、いたって不機嫌であった。

かかってきた時間が、AM 2:00頃であったせいである。

「あのさ、俺、見た、かもしれない」

「何を?」

「事故る前にさ、見た、かもしんないんだ」

「だから、何を」

F君は、しばし沈黙した後、思い切ったように言った。

「前の方から、さ、走ってきたんだよ」

「は ?」

あの時、サーキットを爆走していたのは、間違いなく彼一人であった。

「走ってきたんだ」

「だから、何が ! 」

F君の声が、震えていた。

「腕をバタバタ振り回しながら・・・。火だるまのおっさんが、俺に向かって走ってきたんだ」

「ほう、で ?」

「避けようとして、ドジった」

黙りつづけていた約三ヶ月は長い。

まっすぐなラインで、一人ゴケを仕出かした言い訳にしては、もっとマシなストーリーを創作できないものか?

「俺・・・、はじめてみた・・・、 ああいうの・・・、はじめてみた・・・」

F君は、あれほど通いつづけていたサーキットに、二度と行かなくなった。

寝不足が続いているらしく、入院中よりも、顔色が悪くなった。

目を閉じると、サーキットで見たという、火だるまのおっさんが出て来るらしい。

それも。

「毎日、なんだか、近づいてるような気がする」

F君は、大好きだったバイクから離れた。

外出もしなくなり、私とも、みんなとも、まったく会うこともなく。

F君が、入院したらしい、と聞かされたは、退院した半年後である。

今度は、精神科病棟であった。

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