漫画本

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サリーさんの体験した怖い話だよー

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私は、どちらかと言うと虚弱な青春時代であった。

入院もよくあった。

小児結核に感染した時は、開放性まで入っていなかったが隔離病棟であったため、

親が見舞いに来ても、ガラスの向こうから手を振るくらいである。

捨てて帰ってもいいような、雑誌を買ってきてもらって看護婦さんから受け取った。

少年ジャンプとか、少年マガジンとか、主に漫画だ。

私は、むかしっから読むのが早かったので、あっという間に読み終えてしまう。

そろそろ、ベッド脇に漫画の塔が建ち始めたな・・・。

と、思っていた頃だった。

美味しくもない病院の夕食を食べ終えて、消灯まで、漫画を読むことにした。

すると。

「ねぇ」

子供の声がして、驚いた。

ここは、一人部屋である。

いつの間にか、男の子が入って来ていた。

だれ ?

とは、心の声。

男の子は、私と同じ入院患者らしく、パジャマを着ていた。

「ねぇ、漫画、面白い ?」

「うん、面白い」

男の子は、好くない顔色で笑った。

「僕にも、読ませて」

「いいよ」

私は、男の子に、積み上げていた漫画を一冊渡した。

男の子は、うれしそうに漫画を持って、病室を出て行った。

次の日も、男の子は、漫画を借りに来た。

どうせ、捨てて帰るつもりであったし、べつに、返してとも言わなかった。

私は、検査結果が良好となり、退院の許可が出た。

私は、その日も漫画を借りに来た男の子に言った。

「私さ、もうすぐ退院やけ、漫画返さんでいいよ」

男の子は、きょとんとした。

相変わらず、顔色が悪い。

「漫画、もっとっていいけん。ぜんぶ、やる」

言わずもがなの、寂しそうな表情になった。

「のこっとうのも、持ってっていいよ。ぜんぶ、読み」

私は、ベッドを下りた。

男の子の顔色は、日に日に悪くなっていったので、漫画を病室に持って行ってやろうと思ったからだ。

「病室、どこ? 一緒に持ってってやるけん」

少し下向き加減になって、小声で言った。

「507」

そして、たたたっと走って行ってしまった。

「もぅ、なんなん」

私は、12歳のガキであったが、私より年下であろうガキの態度にむっとした。

「507か」

男の子は、漫画を借りに来なくなった。

けっきょく、退院の日まで、現れなかった。

私は、残っていた漫画の本を紙袋に全部入れた。

「やる」と言ったからには、「やる」

私は、507号室へ向かった。

507号室の前で、馴染みの看護婦さんと会った。

「あれ、漫画どうするん?」

「あの、ここの子に、あげるって言ったから」

「ここの子 ?」

「うん」

看護婦さんは、なにやら、不思議そうな、煮え切らないような顔つきになった。

「ここの子って、ここ、ほら」

看護婦さんが、病室の扉を開けた。

言葉が出なかった。

生命維持装置の中に、埋もれるように昏睡している老人がいた。

しゅうぅぅ・・・、

すうぅぅ・・・・、

しゅうぅぅ・・・・、

機械が、命をつないでいる。

「ここ、あのおじいさんしかおらんよ」

私は、部屋を間違えたのか?

いや、そうではない。

ベッドの脇に、漫画がきれいに積まれていた。

私は、看護婦さんに怪訝そうな顔をされながら、袋一杯の漫画をベッドの脇に置いてきた。

なぜか、それでいいと思った。

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