消えた少年

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今日はサリーさんが与作の被害にあった話だよー

【怖い話】消えた少年

消えた少年

激貧バッグパッカーの日本での過ごし方は、朝寝、午後起きの夜からバイトの日々だ。

あの日は、湿っぽい雨模様の夜だった。

昭和初期の香り高いボロ安食堂で、二人してバイトに行く前に、ガタガタするテーブルについて定食を食べていた。

与作は、やや揚げ過ぎのコロッケを齧りながらニヤリとした。

「夜中のバイトだからさぁ、金がいいんだ、へへ」

まあ、そうだろう。


しかし、鍵でも掛けておけば、別に留守番なんていらないのではないか?

だいたい、夜間の割りのいいバイトには、裏があることが多いのだ。

「大丈夫、そのバイト」

「なぁにが! 金がよけりゃ、いいんだよ、へへ」

鼻血も出ない貧乏辺境海外生活の達人に、 何が危険かなど、あまり思いつかなかったので、そのまま黙った。

次の日、私は与作にバイトの話を聞きたかったのだが、 何気に仕事が忙しくなり、会えないまま、1週間が過ぎた。

やや過労気味なのか、私にしては珍しく、 睡魔と倦怠感がタッグを組んで私にフォールを掛けていた。

「あ~、だる~」

ベッドからだらしなく落下して、冷蔵庫に向かって匍匐前進をしていた時だ。

「お~い、いるかぁ! いるよなぁ」

ドアの向こうから、イラつくほど元気な与作の声がした。

返事をしたくない。

「お~い、いるだろぉっ!」

私は、ゴロンと仰向けになり、頭を抱えて怒鳴った。

「はぁい、いるよ、あ~っもう!」

私は、だらだらと立ち上がり、玄関のドアの前に立った。

「はいはい、もう、何だよ」

鍵を開けようとした時だ。

伸ばした手首を生白い子供の手がパシッと掴んだ。

「お・・・」

寝ぼけ頭が一瞬にしてクリアになり、 手首を掴んでいる手に小さな傷と青アザが点々とあることまで、 はっきりと見てしまった。

何と言う、リアルさ。

冷たくシトッとした肉感があまりに明確で目眩がした。

「ぅうわっ!!」

私は、我に返って思いっきり手を振り払った。

ジタバタと辺りを見回し、嫌な感触がしっかりと残る手首を見た。

「おぉい、出て来いよ、いつまで寝てんだぁ」

与作の声が改めて私の気を戻した。

鍵を開けてドアを開くと、黄ばんだ乱杭歯をむき出しにして笑う与作がいた。

「おまえ!! 何処から、何連れてきたんだっ!!」

私は、開口一番、ヘロヘロな声で叫んだ。

与作は、肩を竦めてとぼけた表情をした。

「あのね、与作、今・・・」

そこまで言った時、私の背後から、 白いランニングシャツと濃い青の半ズボンを履いたイガグリ頭の男の子が、 だっと走り出て、すぅっと消えた。

「へっっ!!」

与作も、思わず身体を交わすように避けた。

つまり、与作にも見えたのだ。

でも、なぜ、私の部屋からか。

確かに、私の後方から突っ走って来た。

「な、何、あれっ!!」

与作は、また、肩を竦めて言った。

「さぁ、知らね。 おまえんとこから出て来たじゃん、おいらの知り合いじゃねぇよ」

私は、かなりのショックを受けた。

与作から、言われたことは、まごう事なき真実であり、 何も言い返せない。

「そ、そんな、ばかな!」

与作は、ニヤニヤしながら言った。

「いつも厄介ごと持ってくんのおいらだと思ってんだろ~、へへ」

グゥの音も出ないとはこの事だ。

と言うわけで、与作の事務所の留守番最中に起こった話は、 また、後日。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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