遠い声

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サリーさんが北海道で体験したお話だよー

遠い声

遠い声

私は、北海道が好きだ。

何度か旅行に行ったが、原生林しかない、ただただ長い道行きでも、全く飽きることがなく、心地良い気分になった。

一緒に行った知人の運転で、深く生い茂る原生林の只中の道を突っ走っていた時のことだ。

おぉぉ・・・ぃ・・・

おぉぉぉ・・・ぃ・・・

半分、うとうととしていた私は、夢の続きで、男の声を聞いたような気がした。

それも、遠い、遠い所から呼んでいるような。

寝ボケていたのだろうと思い、気にしなかったのだが。

ビュンビュンと飛ばす車の窓から吹き込む風の音と、緩やかに捻り合うようにして、また聞こえてきた。

おぉぉぉ・・・・ぃぃ・・・

おぉぉ・・・・・ぃぃぃ・・・

「ねぇ、なんかさ、声聞こえない?」

運転していたF君と、後ろの席に座っていた連中も、耳を澄ませたが。

「いや、別に、なんも」

「何も聞こえな~い!」

「あ、そう」

気の所為にしたいが妙に耳に残されている。

元気があるのかないのかわからない、男の声だとはわかるが、助けを呼んでいるようにも思えないし、誰かを呼んでいるとも思えない。

どうにも判りづらい声だった。

まあ、いいや、わかんないし。

どうせ、旅先の事だ、と聞かないふりを決め込んだ。

だが。

おぉぉ・・・ぃぃぃ・・・

もう随分走ったはずだ。

まだ、聞こえてくる。

さっきまで心安らけく居たというのに、ざわざわと鳥肌が止まらない。

なぜって、先だってよりも、近づいてきているように感じたからだ。

おぉぉぉ・・・いぃ・・・っ

もう、遠い声ではない。

車のすぐ後ろまで、来ている、と思えた。

私は、みんなに言ったものか迷ったが、バックシートの2人は、こんこんと眠っていた。

おおぉぉ・・・いぃっっ!!

もう、だめだ。

きっと、車のすぐ後ろに。

突然、車が、ぐんっとスピードを上げた。

いきなりだったので、がくんっと体がシートに張り付く。

バックシートの2人が目を覚ました。

「なになに!! 何ぶっ飛ばしてんの!!」

私は、運転しているF君の真顔と、つらりと流れる冷や汗を見た。

あ、聞こえてたんだ・・・。

F君は、原生林を抜けるまで、アクセルベタ踏み状態で突っ走った。

ハンドルに上半身をくっつけるようにして、前を凝視している。

F君に話しかけようとしたが、彼は震えているが強い調子で言った。

「ミラー、見んな!」

「う、うん」

私も前を凝視したままになった。

ホテルに到着するまで、がっちがちに固まっていたのだ。

ぎゅるるるるるっっ!

ホテルの駐車場に突っ込むようにして車が停車。

周りの人たちは、呆れ顔で私たちを見ている。

F君は、ハンドルに突っ伏して震えていた。

バックシートの2人が、F君が尋常ではないのを見て、固唾を飲んでいる。

「あれ・・・、なんだ・・・」

F君は、私から、声が聞こえないかと聞かれた後、何気に何度もバックミラーを見ていたのだと言う。

すると・・・。

黒い影のようなものが、ちらり、ちらりと見え始めた。

なんだ・・・、ありゃ

黒い影は、次第に明確となってきた。

そして・・・。

「耳が・・・、 耳がない男が・・・、血まみれで!!」

両耳を削ぎ落とされたような男が、凄まじい形相で追いかけて来ていた。

ゆっくりと手足を動かしているというのに、車の後方まで追いついている。

F君は、恐怖に蹴飛ばされたかのように、アクセルを踏み付けたわけだ。

飛ばしても、飛ばしても、距離は縮まらないどころか、ジワジワと確実に、近づいている。

バックミラーに、顔の両側からだらだらと流血した男の右目と左目が、グリグリと変な具合に回る様まで見える。

F君の突然の大暴走は、遠い声だけを聞いた私よりも、恐ろしい事態が原因であったのだ。

全力でぶっ飛ばしていたF君に、いつ追いかけて来ていた男がいなくなったのかなど、わかろうはずもない。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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