忘れられる奴

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サリーさんの体験した不思議なお話だよー

忘れられる奴

忘れられる奴

東京に住んでいた頃の話。

はじめは、偶然だと思っていたことがある。

「あ ! ごめん、一個足らないじゃん !」

休日に集まっては、だらだらしていた仲間内に、Fという青年がいたのだが。

このF、 なぜか、いつも、「忘れられる」のだ。

だらだらと駄弁り続けていると、自然と腹も減るので、じゃんけんで負けた者が、買い出しに行く。

その日によって、サンドイッチ、たこ焼き、肉まんと、メニューはさまざまであった。

「あぁ! どうしてだよ、もう!!」

なぜか、誰が行っても、Fの分を忘れて来るのだ。

喫茶店に入っても。

「あ・・・、すみません、あらぁ?!」

みんな、Fがオーダーしたことをしっかりと覚えているのに、喫茶店のおねぇさんの伝票には、Fのエビピラフが抜け落ちていた。

なんだか、意味不明な現象?であったので、ある日、私が立候補した。

「じゃ、私、行ってくるよ」

私は、どこかあきらめ顔のFに言った。

「何買ってこよっか、何がいい ?」

今でも忘れない。

Fは、苦笑しつつ。

「肉まん、2個」

「おっけ~」

私は、ごく近所にあった中華総菜屋を選んだ。

徒歩、約8分。

そうそう、忘れようはあるまい。

メモにも、みんなの名前とオーダーを書いていた。

「春巻きセットと、タケノコ入り肉団子と、ニラ餅3個、鶏餃子セット」

そして、運命の。

「肉まん、2個 !」

私は、確かに、言った。

「肉まん、2個ね、おじさん」

「はい、お待ちどう! いつもありがとね !」

私は、いい匂いのする大袋を受け取って、急いで戻った。

ドアをぱぁんっと開いてVサインをした (古い)

あの時、みんな、固唾を飲んで私を見上げていた。

「買ってきたよ !」

袋から、ホカホカの中華惣菜を一つずつ出した。

「ん・・・・?!」

一つだけ、ひんやりとしていた。

冷たい。

あのオヤジ、温めてないじゃん !

私はむっとして袋を開けると、冷たくて、カピカピに乾いた肉まんが。

まるで、外で置きっ放しにされていたようにだ。

「何これ!! ちょっと文句言ってくる !」

「いや、いいよ、もう」

Fは、ちょっと奇妙な笑い方をした。

「なぜだよ、こんなの良くないしっ !」

私は、忘れなかった、それなのに、なんだ、これは !

相当、いらいらした。

「いや、ほんと、もう、いいよ」

みんな、食欲が失せていた。

怖がっている様子の女の子もいた。

確かに奇妙だ。

どうして、Fだけが忘れられる?

その上、忘れなかったら、こんな。

「オレさ、復讐されてんだよ」

「はあぁ?!」

まったく、見当がつかない。

Fは、照れてるいるような、または、どこか恐れているような。

なんとも言えない薄笑いを浮かべた。

「オレさ、ガキのころさ、すっげぇ悪ガキでさ。オヤジの田舎に住んでた時だよ。墓場で暴れたりして遊んでてさ。腹が減ったら、供えられたお菓子とか盗み食いしてたんだ」

私は、呆気にとられた。

何を言い出すんだ、こいつは。

「毎日、毎日、お菓子を供えてるばぁさんがいてさ。オレ、それ、ぜんぶ、食い散らかしてたんだ」

まあ、バチ当たりといえば、そうだが。

子供のやりそうなこととも言える。

「そんでさ、一度、ばぁさんに見つかっちまってさ」

「叱られた?」

「いや、泣かれた」

それは、心苦しい。

「戦争で死んだ息子が夢に出て来よるんや、 もう、息子のもんは盗らんでやって」

だが、悪ガキFは、そんなことおかまいなしに、供物の菓子を食べていたという。

おばあさんは、息子の為にと、Fから盗まれることを分かっていながら、お菓子を供え続けていたそうだ。

そして、Fは、物心ついた時から、誰に頼んでも、「忘れられる奴」になってしまったらしい。

信じていいやら、悪いやら。

私たちは、何も言わずに中華惣菜を分け合った食べた。

そして、Fは、硬く乾燥した肉まんを袋ごと、ゴミ箱に捨てた。

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