お化け屋敷で

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サリーさんの体験した怖いお話だよー

【怖い話】お化け屋敷で

お化け屋敷で

私は、お化け屋敷には入らない。

仕事以外で、見そうな場所に行きたくない。

私の知人は、レトロなアンダーグラウンド的、日本の昭和初期文化が大好きなのであるが、

もう、かなりベタな「お化け屋敷」を発見した。

「どうしても、入りたい!」

「行ってらっしゃい」

「いやだ!」

「はい?」

なんという。

一人で入りたくないが、ぜったいに入りたい!らしい。

「じゃ、やめとけば?」

「いやだ! 写真、撮るの!」

かなり、しつこい。

折れようかとも思ったのだが、どうにも気が進まない。

銀座、千疋屋のフルーツパフェを奢る!とまで言われた。

仕方がない。

千疋屋のフルーツパフェは、見逃せない。

大きな看板には、一つ目小僧と、なぜかドラキュラ伯爵、唐傘お化けと、狼男。

この国際色豊か過ぎる恐怖の競演。

わさっと置かれた細い枯れ笹竹を避けつつ、お化け屋敷の中へ入って行った。

ぼやけている上に、割れまくっている呻き声が、質のよくないスピーカーから、ガンガン響いてくる。

怖がらせようとしている過剰なサービスに、古すぎる器材が追いついていない。

鳥肌が立っているのは、電気代をガン無視したクーラーの効かせ過ぎのせいだ。

暗闇の中、絶対に私に作らせた方が上手いと思われる、経帷子を着たお化けが飾られている。

いや、そういうわけではなく。

お子様方や、若い男女を微笑ましく怖がらせようとしている仕掛けである。

知人は、フラッシュをバチバチと光らせながら、あちこちを激写している。

「すごい! なんだか、すごい!」

私は、ぼんやりとしながら、歩いていたのだが。

「ねぇ、あれ、好きそうじゃん」

井戸から顔を出しているお化けを指差して、知人を呼んだ。

あれ・・・?

いない。

逸れたらしい。

しかし、どうやったら、逸れるのか。

いつのまにか、知人は、カメラを構えたまま、何処かへと消えていた。

なんだ、一人でも入れてるし。

私は、とりあえず、「お化け屋敷」を出ようと、道なりに進んでいた。

ん・・・あれ・・・?

なんだか、同じところをぐるぐると回っているようだ。

そんな広々としている場所でもなかろうに。

逸れるし、迷うし。

「はぁ」

やっぱり、入るんじゃなかったね、と思っていると。

「どないしたん?」

背後から声がした。

ランニングシャツに、ブカブカっぽいパンツを履いた男の子がいた。

「あ~、迷ったみたいでね」

「こないなとこで迷うなんて、あほみたいねんな」

男の子に、けらけらと笑われてしまった。

ちょっとムッとした。

「真っ暗だからさ」

「しゃあないねんな、出口まで連れて行ってあげる」

男の子は、私の手を取った。

夏だからか、妙に温かかった。

「こっちやで」

私は、自分が歩いたはずの道だと思った。

すると、男の子は、分かれ道の前で、ピタリと止まった。

「ん? どうしたの?」

男の子は、闇の中へとつづいている右側の道を指差して、私の顔を見た。

「こっちに行ったらいけへんし」

「あ、そう」

男の子は、私の手を引いて、左側の道を進んだ。

「ここをまっすぐに行ったら出られんで」

「ありがとう」

男の子は、バイバイと手を振った。

男の子は、お化け屋敷の中で、遊んでいるのだろうか。

私と一緒に出ようとはしなかった。

ぼろいカーテンを避けると、外の光が射してきた。

背後から、男の子の声が聞こえた。

「もう、このお化け屋敷には来へんほうがええで」

「え?」

振り返ったが、男の子はいなかった。

子供は、どんな場所でも遊ぶんだね、と思いながら、知人を待っていると、すごい剣幕で、飛び出してきた。

「一人で先に行かないでよ! ばか!」

「いや、迷っちゃってさ。

男の子に連れて出てもらったよ」

「男の子?」

「うん、一人で遊んでたみたい」

「お化け屋敷で?」

「うん」

知人は、怪訝そうに首を傾げた。

表から見ると、実に小じんまりしたお化け屋敷であった。

私は、いったい、どうやって迷ったのであろう。

「ねぇ、一本道だったよ、どうやって迷うの?」

「いや、別れ道があったよ」

「ないよ、なかったよ、そんなの」

私は、まじまじと知人の顔を見た。

たしかに、何かおかしい。

あの男の子がいなかったら、私は、どうなっていたのか。

やっぱり、「お化け屋敷」には、入りたくない。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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