与作の話 - 廃墟警備

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今日は、与作が廃墟警備をするというお話になるのかな?野生の勘が働くのかなぁ・・・。

【怖い話】与作の話 - 廃墟警備

与作は夜働く。

ヘイヘイホ~。

いやいや、日本に帰国している最中は、徹底した夜型であるので昼間は寝てばかりいるというだけだ。

それでなくとも奇妙な目に会いやすい奴であるというのに。

まあ、重苦しくも怪しいドレッドヘアの男を簡単に雇ってくれるところなど、夜間かやや危ない仕事くらいしかないであろう。

倉庫の番人や、夜間工事でライトを振り、バーや風俗店、ラブホなど。

まさに、浮世の垢や澱が溜まっていそうな職場ばかり。

帰国中の与作は、お世辞にも働き者とはいえない。

スキあらば、煙草をふかし、ビールなんぞを嗜んでいた。

それどころか聞いただけで気が遠くなりそうな、バイト先もあった。

「いやいや、金がいいのよ!!」

バイトの内容を聞いたが、相当、金に困っているか、または与作並みに悪運が強いか、そういう人間しか働けないバイトであるとわかった。

バイト先は、某山手にある。

病院の建設予定地で、元々建っていた保養院が廃屋状態で残されているらしい。

そこに、暴走族やら、ホームレスやらが、勝手に入り込まないようにとの見張り番だ。

「そりゃ、金がいいわ」

私は、その某建設予定地の噂は、呆れるほど聞いていた。

有名な心霊スポットである。

与作相手に、そこは、心霊スポットだよ、と言ったとしても、別にどうということはないだろうと思いつつ、まあ、言ってみた。

「へぇ、そうなんだ」

やはり。

けろっとしている。

別に馬鹿にするわけでもなく、さらっと受け流された。

「まぁ、ね、信じるかどうかは別としてさ、気をつけなよ」

「なんに気をつけるんだ? 誰もいねぇし」

はいはい、まあ、こんなところである。

与作にとっては、生命の危険以外、なんということはないらしい。

次の日の晩から、与作は例のくたびれすぎているバックパックを肩にかけて出掛けて行った。

与作のバイトの日数は、一週間。

なんと、一週間も有数の心霊スポットに滞在するのだ。

だが、通常の神経の人間なら想像し難いが、大枚のかかった仕事を与作が棒に降るとは思えない。

変な無理はしないでくれよ、と思いながらも、私は私で忙しい日々であった。

別になんの連絡もないし、与作のことだ、なんとかなっているのだろうと思っていた。

すると。
思いも寄らない電話があった。

「あの、すみません、北島 与作さんの関係者の方ですよね?」

「はぁ?!」

なんだ、その、いかにもなネーミングは!

電話の相手は、与作のバイト先の会社であった。

与作は、私に許可なく、緊急の連絡先を私にしていたようだ。
いや、ということは・・・。

「はい、友人ですが、あいつに何か?」

「あ、はい、あのですね、北島さんには問題はないかと」

私は、一応、ホッとした。一応。

「じゃあなんですか?」

「はい、それがですね・・・」

与作は、会社の人間に、例の場所の手前まで送ってもらえたらしいが、そこから1km近くも歩かされたようだ。

誰もが知っている恐ろしいポイントである。
近づきたくないのはわかる。

会社側としては、1日3回の業務連絡を与作から受けていたらしいが、滞在3日めの業務連絡の際に異変は起こった。

「北島さんから電話連絡があったのはいいんですがね」

「はぁ、何か?」

態度とか口のききかたが悪いのはわかっているが、そんなことで緊急連絡先に電話はないだろう。

「当方としましてはですね、滞在勤務は、うちの方からの出向社員とですね、北島さんの2人でとなっておりまして」

「はぁ、それで?」

だからなんなんだ!と喉まで出かかったが飲み込んだ。

「昨日、出向社員が帰社しまして」

「へ?」

「はい、あの、まあ、当社といたしましてもいきなりな事でしたので」

「はぁ、で?」

つまり。

その時点で、あの噂で持ちきりの心霊スポットには、与作が1人でいるという事だ。

「あのですね、北島さんにはですね、引き続き監視の仕事をと依頼させていただきまして」

私は、なんとなく、こいつら、何かわかって言ってるな、と思った。

「北島さんには、バイト料の割り増しでご承知いただきまして」

「はい、まあ、本人が承諾したならいいんじゃないですか」

流石は、なんて奴だ、である。

「で、そっちの社員さんは、どうしていきなり?」

しばしの沈黙。

「あ、それは、ちょっと、その、体調が悪くなったという事で」

「急病ですか?」

「あ~、はい、まあ、その、はい、そうですね」

嘘つきどもが。

私は、心配していいやら、悪いやらで、迷った。

連絡したものか、このまま、放っておくか。

そうこうしていると、貧乏仲間のNから電話があった。

与作から連絡があって、わりのいい仕事やってる、とヘラヘラしながら楽な仕事だぜ、と自慢されたというのだ。

ああ、心配して損した。

「でもさ、あいつ、ちょっと勤務態度悪すぎだぜ! いくらさぁ、バイトだからってさぁ!」

与作の不真面目な社会性くらいわかっていそうなものだ。

今更、目くじら立てても致し方あるまい。

「いくらなんでも、女ざんまいはないだろろっ!」

「へ?」

「電話からさぁ、女どもがキャアキャア騒いで笑ってんのが聞こえてさぁ! あいつ、何人女連れ込んだんだ?!」

ヤバい。

「それ、いつの話?」

「あぁ、今朝だよ、今朝! 全く朝から大騒ぎしやがって!」

それも朝からとは。

節操のない人外もいたものだ。

いや、それどころではない。

私は、すぐに与作に電話をした。

いや、何ができるというわけではないが、とりあえず。

トゥルルルルルル、

トゥルルルルルルルル、

なかなか、出ない。

ムカつくし、イライラする。

カチツ。

出た、と思った。

「ここには誰もいませんよ~、キャハハハハハハッ!」

ぞっとして鳥肌が総立ち。

確かに女の声だった。

「与作っっ!!」

私は、怒りを込めた大声で怒鳴った。

キャッ

怯えた女の声。

その後、のほほんとした声がした。

「お~、もしもし~」

出た、与作だ。

「おい、何やってんだよ!!」

「何って、バイトだよ」

「そんなとこにいたら、死ぬぞっ!!」

「そんなとこ?」

私は、与作が心霊スポットのバイト先にいると思っていた。

だが・・・。

「うへへ~、俺、今現場近くのさぁ、ラブホにいるぜ~」

「な、なに?!」

ラブホ?
ということは、Nが言っていた女どもというのは、本当の人間だったのか?

「なんでラブホなんだよ!! 女づれかよっ!!」

「はぁ?! あんなテレビもラジオもねぇとこなんていられねぇよ~! 」

「会社の人間が来たらどうすんだよっ!!」

与作は、うへへ、と例の調子で笑った。

「あいつら、びびって、来やしねぇよ、うへへ~」

私は、ため息をついて、多少はホッとしたが。

「おい・・・、与作、今、与作、一人か?」

「あたりめぇじゃん、うへへ~」

まったく大丈夫じゃない。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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