丸刈りの男

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サリーさんの体験した怖い話だよー!!

丸刈り男

丸刈りの男

その男とは、渋谷のジァンジァンで、隣り合ったことが始まりだった。

だが、それだけではない。

芝居がはねた後、見知らぬ者同士で、今から、喫茶店に行こう、という話になったのだが、その中のメンバーに入っていた。

中坊のような丸刈りで、どこかチグハグなセンスの洋服。

物静かに見えるが、ふと気がつくと、鋭く探りを入れるような眼差しや、底光りのある目、型を取ったような笑顔といい。

普通の仕事じゃないかな。

喫茶店で屯(たむろ)している時も、けっきょく、一言も喋らないまま、ニコニコと穏やかな風情であった。

年の頃なら、30後半であろうか。

夜更けまで騒いで、そろそろ帰ろうか、ということになり、各々、席を立っている時だ。

「見えるんでしょ?」

私は、きょとんとして、その声に振り返ると、丸刈り男が、にこやかに微笑んでいた。

「あんた、見えてますよね」

私の言葉は、喉の奥に詰まったままだ。

みんな、三々五々、店の外に出た。

私は、丸刈り男と向かい合っていた。

「ワシも見えるんですよ」

ワシって。

しかし、いきなり。

丸刈り男は、ニコッと笑って、店の左側、奥を指差した。

卒倒しかけた。

右脇腹から、だらだらと出血している中年男が、血の泡を吹きながら、立っている。

鼻の奥に、鉄臭さが沁みて来た。

呆然としていると、丸刈り男が言った。

「大丈夫ですよ。あれ、生きてないから」

それは、わかる。

「わしも、見えるんよ。ああやって、着いて来よるのが、見えてしまうんですわ。あれが死んだことは、わしがよう知っとるのに、たまに、灰皿投げつけてしもうたりしますよ」

丸刈り男は、肩を揺するようにして笑った。

「お互い、因果な体質ですね」

そういうと、丸刈り男は、店を出て行ったが、ヨタリ、ヨタリと、血塗れの「あれ」は、丸刈り男の後をついて行った。

それ以来、丸刈り男には、会っていない。

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