ニューシカゴ座の怪人

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ニューシカゴ座の怪人

サリーさんが知人から聞いた怪談だよー

ニュー・シカゴ座の怪人

 これは、聞いた話だ。何十年も前の話だが東京にいた頃。地方から来ている知人が多かった。その中の一人に、神奈川県から来ている女性がいた。仮にFさんとしておこう。

 彼女は、私に負けず劣らずの田舎育ちであった。そんな彼女が、大学生時代にバイトをしていた、温泉街にあるストリップ小屋での話だ。

 なんとも鄙びたストリップ小屋で『ヌード・ショー ! ニュー・シカゴ座』という無理のある横文字の店名。

 当時、某地方大学だったFさん。授業料は仕送りで賄っていたそうだが、生活費と遊び金はダンサーのバイトで稼いでいた逞しい女性だ。

「夜間のバイトだったから、お金が良くってさ」

 拘束時間とバイト料から出されたFさんなりの答えに、そうなのか ? と思ったものだ。今考えても、もう少し割りの良いバイトがあったのではないかと思うのだが、彼女のなりの事情というか趣向というか、彼女が良しとする何かあったのだろう。

 そのニュー・シカゴ座には男の幽霊が出る。知る人ぞ知るというか、常連ならば皆知っている事であったという。

「客席の端っこにいたり、たまに齧付きにいたりって。踊り子さんたちは気味悪がっててね」

 それはそうであろう。顔色の悪い、暗い顔をした若者の幽霊が、ヌード・ショーを見ているなど笑えそうで、笑えない。男子の業というか。死んでも見たいモノは見たいらしい。

「無料で見られるのにね。少しは楽しそうにヘラヘラすればいいのに。だったらサービスしちゃうのにねぇ」

 いや、そういう問題ではなかろう。劣情に見開かれた瞳でダンサーを凝視しながらヘラヘラと笑っている幽霊の方が、気味が悪いを通り越して危険な気がする。

 ダンサーたちからの苦情よりも、お客さんが減ってしまうことに、危機感を抱いたオーナーは、お祓いをすることにした。常連客であり、近隣の寺の住職自らその役を買って出たそうだ。

 しかし、色欲というのは生命力と同じくして、旺盛であるようだ。そもそも色欲とは生命力の土台の上に築かれるものであろう。肉体という命の器を失ってまで例として現れる生命力とはなんぞや ? ダンサーや客の証言によると、見るからに辛気臭い風体は、生命力の枯渇した幽霊のそれである。この世の理を曲げてまで現れる男の霊は本当に幾つもの捩れを抱える存在なのだろう。

 結論から言うと、自らその役を買って出た住職の奮闘空しく。有難いお経や如何にもな護摩行も徒労に終わる。件の男は中々あっさり成仏とはいかなかったらしい。流石だ、強烈に捩じれた存在というべきか。

 この世の理や坊主の法力という様々なハードルを乗り越えて、若者の幽霊はストリップ・ショーを見に来ることを止めなかったそうだ。

 ついに、お客さん方の間から「妙なのがいる」「気持ちが悪い」と、クレームが出始めた。客の歓声にノリノリのダンサー視線が小屋の隅に向けられた瞬間に急降下する踊りとサービス。その様を見ていた気の荒い客は、劣情と興奮に冷や水を貰い喧嘩を売ったら、消えた ! という笑うに笑えない具体的な話まで出てくる始末。結局、ヌード・ショー! ニュー・シカゴ座は、次第に寂れてゆき、営業が立ち行かなくなってしまったという。

「へぇ、そうなんだ」

「ほんと迷惑。手取りがメッチャ良かったバイトだったんだけれどねぇ」
「いい迷惑よね、そういうの」

 幽霊だからとて、後先のことを考えないのだろうか。無料で見られるのに閉店の憂き目に会わせては、次に現れる場所を探さなければないのではないか。真に幾重にも捩じれを抱えた残念な男というべきか。大人しく、目立たない席にいればよいものを。

上記のテキストは、Youtubeで朗読している口語文とはちょっと違います

m(__)m

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