穴あき硬貨

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サリーさんの知人の与作のお話だよー

穴開き硬貨

穴あき硬貨

与作という、ボーダー・バックパッカーの話。

与作が売っている商品は、アジア系の雑貨で、殆どが気紛れに購入して来た土産物である。

あの、アジア系雑貨特有の香の匂いが染み付いた、怪しい物ばかりだ。

与作は、ありきたりの物には興味がない。

そんな、よほどの好事家あたりにしか、売れそうにない。

怪しいというより、縁起が悪そうな物ばかりだ。

「こういう、いわく因縁があるやつのほうが、高く売れたりすんだよ」

「ほぅ」

物との出会いも縁であろうと思う。

実際、如何にも祟られそうなのに、ふらりと立ち寄って、購入していく人がいる。

与作は、帰国したら、2~3日して、露店を開く。

不気味な民族雑貨を愛好している人は、与作の帰国を喜ぶという。

「あれ、これ、お金じゃない?」

木の皿の上に、じゃらっと放り投げるようにしてある、古めかしい上に汚れた硬貨を見た。

「ああ、南インドの我楽多売ってた店でさ、 一掴みで幾らってやってたんだ。俺~、金好きだし、ははは!」

ふぅん、古銭かな・・・。

黒く汚れていたり、模様がすっかりすり減っていたり、緑青が浮いていたり。

ん?

そんな中に、一枚。

「何、これ ? 穴開き硬貨?かな?」

真ん中に穴が空いた硬貨がある。

割と大き目の硬貨だ。

しかし、きれいな穴ではないので、まるで、釘か何かで打ち抜いたような風に見える。

「さあ、知らね。買ってく、安くしとくよ」

「はぁ、ひと掴み幾らで買い叩いて来たくせに、幾らで売るつもりだよ!」

与作は、いひひと笑った。

私は、その硬貨を手に取ろうとした。

うっ・・・!

指先がびりっと痺れた。

そして、額の真ん中に激痛が走った。

「ぅあっつ!」

「どした?! 」

私は、額を押さえて、後ろに飛び退いた。

「何だよ、どうかしたか?!」

与作は、不思議そうな顔で私を見ていた。

心配というよりも、好奇心満載の顔である。

なんて奴だ。

「いったぁ、何だよ、それ」

私は、額からなかなか消えない痛みに眉を顰めた。

「これか?」

与作は、穴の空いた硬貨を手に取った。

やはり、初めから空けられている穴ではないようだ。

「与作、平気なんだ」

「うん、なんてことない」

すると、背後から声がした。

「よう、与作さん、おかえり!」

「あ~、松田さ~ん!」

与作の怪しい露店の常連客、金遣いが荒いので、松田財閥と呼ばれている男だった。

「何だ、それ」

松田財閥は、与作が持っている硬貨に、惹きつけられたようだ。

さすがは、好事家である。

「何だ、その穴」

松田財閥は、その硬貨を手に取った、が。

「ぅおっつ!!」

額を押さえて尻餅をついた。

珍しい。

松田財閥が、怪しさに充てられるなど。

しかし、松田財閥は、硬貨をしっかりと握りしめている。

それまた、さすがだ。

「何だ、これ! すげぇぞ!」

松田財閥は、涙目になりながら、穴開き硬貨を見つめている。

「いってえぇ~~!! すっげえぇ~!」

松田財閥は、へらへらと妙な笑い方をしながら言った。

「これ、幾らだ!」

買うんかい!

「へい、5000円だす!」

売るんかい!!

松田財閥は、二束三文以下の硬貨に、惜しげも無く5000円を払った。

「まいど!」

なんて奴だ。

そして、私は、確信したことがある。

松田財閥の額から、何の傷もないのに、血がつうぅ~っと流れた。

ゴシゴシと袖で拭いて、松田財閥は、穴開き硬貨を嬉々として見つめている。

インド洋に出没する海賊は、従順にならない捕虜を見せしめとして、額に硬貨を釘で打ち付けることがあるという。

こういう、呪われた品が、なぜ、世に出回るのか。

松田財閥のような好事家がいて・・・。

そして、与作のような祟り知らずがいるからだ。

「やった、な、5000円だぜ、ラッキ~!」

なんて奴だ。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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