桜通り

スポンサーリンク
Youtube
サクラ踊り

サリーさんが体験した怪談だよー!!

36年前の話だ。

私は、東京にいた。

給料が入ると、すぐに本屋。

食費など、念頭にない。

いつも空腹状態ではあったが、精神的には、幸福であった。

空腹が続き過ぎて、少し感覚が飛んでいたのかもしれない。

バイト帰りの夜のことだ。

塩と胡椒を入れたトマトジュースで、すでに当たり前状態であった空腹を紛らわしつつ、

公園のベンチに座っていた。

少し離れた所に、街灯が立っている。

トマトジュースは、半飢餓状態の肉体が、砂漠に降った雨の如く、瞬間に吸収していくのがわかる。

「ふぅ」

足下を見つめてため息を吐いた時だ。

はらり・・・。

ん ?

花弁が一枚、落ちてきた。

白い花など、この公園にあっただろうか。

はら・・・、はら・・・。

花弁が、風に運ばれて来る。

さすがに顔を上げて辺りを見回した。

暗闇を照らす一本の街灯。

その向こうに、満開の桜の樹があった。

「はれ・・・?」

見たことがない。

とりあえず、この公園には、桜の木はなかったはずだ。

しかし。

「すごい・・・」

満開の桜の枝は、その花の重みに軋むかのように、ゆっくりと揺れている。

私は、桜の気に向かって歩き始めていた。

近くで見たかった。

漆黒り夜空に映えた、燃え上がるような満開の桜。

ただ。

近づけない。

それは、桜の樹の下に、奇妙な者たちがいたからだ。

白い一重の着物を着た老人たちが、輪になって踊っていた。

ひょこひょこと、滑稽な踊りを踊っている。

はらはらと桜の花弁が、雪のように舞い降る中、苦悶に顔を顰めた老人たちの違和感。

そして、もう一つ。

大切な真実がある。

その日は、7月19日だった。

夏も盛りになろうかという暑い夜だ。

しかし、目の前には、満開の桜。

奇妙な踊る老人たち。

無声映画の中のように、

一切の音が消えていた。

“これは、いけない”

頭ではなく、心が警告を発した。

私は、猛然とその場から走って逃げた。

そのままアパートまで、突っ走った。

翌日の朝。

バイト先へ向かう途中。

公園に寄った。

もちろん、桜などない。

ただ、私が落としたと思われる、トマトジュースの缶が、ベンチの上に置かれていた。

捨てよう

私は、缶を持ち上げて、どきっと心臓が跳ね上がった。

飲み口の辺りに、一片。

桜の花弁が張り付いていた。

思わず、缶を投げ捨てた。

夏が過ぎても、いや、あたりまえに桜が咲く季節ほど、この公園には、近寄らなかった。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、下のコメント欄に一言ください。そしてこのHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました