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サリーさんの体験した怖い話だよー

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東京に住んでいた時のことだ。

休日になると、 読み掛けの本を携えて、居座る喫茶店があった。

古い喫茶店で、初老の二代目マスターが、一人で商っていた。

顔馴染みになっていたし、私の赤貧ぶりもわかっていたので安価なコーヒー一杯だけで、いつまでも放って置いてくれた。

失礼ながら、さほど客も多くなく、いつも、ゆるいジャズが流れていた。

あの日。

私が、その居心地の良かったはずの、喫茶店と別れを告げた日。

いつものように、私は奥のテーブルで、とっくに飲み干したコーヒーカップを前に、 本を読み続けていた。

「ん ?」

誰かが、覗き込んだような気がした。

ふと顔を上げたが、誰もいない。

気のせいかと、また読み始めた。

「ん ?!」

今度は、はっきりと感じた。

整髪料のような匂いもした。

だが、誰もいない。

ふわり、と鳥肌が立った。

テーブルを変えたが、 どうにも落ち着かない。

「ふぅ」

本を立たんんで、喫茶店の中を見回した。

斜め前方のテーブルに、一人の女性が、私のように本を読んでいる。

その女性の後ろの椅子から、にゅう・・・っと男が立ちあがった。

きっちりと髪を固めたスーツの男だ。

男は、妙に力強いキヲツケをして、女性にぐうぅっと頭を近づけ、本を覗き込んだ。

そして、にやぁ・・・っとした。

女性が、はっとしたように顔を上げると、男は、消えた。

すぅぅっと、消えた。

女性は、辺りを見回して、不思議そうにしている。

私は、男のにやつきが不気味さに怖気た。

思わず立ち上がった時、マスターと目が合った。

マスターの目。

なんとも言いようのない表情をして、すぅっと顔を逸らした。

暗黙で、こう言っていたように思えた。

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私は、その日を最後に、喫茶店に行くことはなくなった。

お願いとお約束

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約束だよ!!

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