銀霊 其の二

スポンサーリンク
Youtube

今日は昨日の着物のお話の顛末記だよ!

【怖い話】銀嶺 – 其の二

銀霊 其の二

「ああ、もしかして、あれのこと?」

京都大学の、日本美術専攻の教授。

K氏は、Y女史とは、長い付き合いらしい。

Y女史の着物収集にも、何かと協力しているという。

展示されている着物の中には、元禄時代という、途方もなく古いものもあった。

K氏のいうところの、アレとは、Y女史が異様な扱いをしていた、あの純白の着物のことである。

美術館のスタッフが、Y女史の加減が悪そうなので、何気に、K氏に話したらしい。

「あ~、あの着物はね、うん。ヒヨクノワカレギンレイノユキって名前のね」

比翼別離銀嶺雪

「真っ白だからわかりづらいだろうけど、銀糸の連山の上に、夫婦の鳥の刺繍があってね。吹雪に別れ別れになってしまう様を描いてるんだよ」

嫌なテーマだ。

あまりに美しい白と、銀糸の刺繍に目を取られて、鳥には気がつかなかった。

「まったく濁りがないけどね、あの着物、100年以上前のものだよ」

驚いた。

まるで、新品のように、あまりに白かった。

K氏は、複雑な笑みを浮かべた。

「いやね、なんというか、いわく付きの着物でね」

「いわくつき? ですか?」

「ん~、まあ、ね。彼女から聞いただけなんだがね」

Y女史は、着物のあまりの美しさに、高額を支払って購入。

床の間に飾って、その部屋で寝ていたらしい。

すると。

毎晩のように、息苦しくなるほどの吹雪の夢を見る。

それだけではない。

惹き搾られるような悲しみに襲われ、胸を掻き毟りながら、酷く魘されて目を覚ます。

始めは、気のせいにしていたのだが、ある日の夕刻。

「ん~、着物が独りでにはためいて、雪と風が着物から吹いてるのを見たってね。まあ、疲れてたんじゃないかな」

Y女史は、何度となく、着物を手放そうと思ったらしいが、眺める度に、惜しくなってしまうらしい。

長持ちの中に封印して、滅多に出さないまま、保管していたのだが。

どういうわけか、今回の展示会の出展品に混じっていたのだ。

「まあね、彼女も、わかんないうちに、出しちゃったんじゃないの ? まあ、わかんないけどね」

K氏は、苦笑して、黙った。

展示会が終わるまで、Y女史の顔色が、戻ることはなかった。

Y女史は、まだ、着物を持っているのだろうか。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました