小箱

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サリーさんの体験した怖い話だょ~

小箱

小箱

「小箱」

東京に住んでいた頃の話。

絵描きの知り合いが、わりといた。

生活苦に喘ぎつつも、絵描き人生を通している画家。

経済的困窮一切なしの画家。

画家つながりの知人の輪が出来ていた。

私自身も、「本貧乏」であったため、金持ち画家のモデルのバイトで、糊口を凌ぐことがよくあった。

表参道に、バンブーという、サンドイッチ屋があって、金持ち画家に奢ってもらう定番の店だった。

その日もI氏という、金持ち画家に呼ばれて、展示会用の絵のモデルのバイトを受けた。

「いや、珍しいの手に入れてね」

I氏は、西洋骨董の収集をやっている。

さすがは、お金持ち様だ。

ポケットから取り出したのは、小さいが、かなり豪奢な宝石象嵌の小箱。

「ちょっと、無理したかな。でも、どうしても欲しくてね」

I氏の「ちょっと」は、「かなり」の価格である。

たしかに、美しい小箱ではあるが。

好事家の物欲は、果てしなく一般的ではない。

I氏は、にやり、とした。

「んふふ・・・、実は、さ。この箱、指輪付きの薬指を納めてたんだ」

出た。

普通ではないな、とは、思っていたが。

「ほう、そうですか。で、モデルやる日は?」

私は、云われ因縁を聞きたくなかったので、露骨に話しを変えようとした。

「で、この箱を持って、モデルになってほしいんだ」

「へ ?」

どういう神経をしているのか。

どこぞの誰かの薬指のミイラが入っている箱をだ。

長時間、持ったままでいろと。

「中身見る ?」

「食べ物屋なんですけど、ここ。やめましょうよ」

I氏は、からからと笑った。

「いやいや、薬指になんて、まったく見えないよ。まるで、枯れた小枝だったね」

うぇ~。

断る決心がついた。

「あの、やめときます」

「なになに! 大丈夫だよ、蓋は閉めたままでいいし」

あたりまえだろ!

「いえ、ちょっと、気色いいもんじゃないんで。他にも、生活苦な美大生とか。譲ります、今回」

なぜか、I氏は、妙にしつこかった。

「いいじゃない、ほんと、大丈夫だし。ね、お願い。一日だけでいいからさ!」

私は、悟った。

ははん、他にも断られたな。

「な、頼むよ、一日だけ !」

私は、ふと自分の左手を見て、ぞわっとした。

「ん・・・?」

薬指の根本が、紫色に変色している。

きつく絞めつけられた後のように。

それだけではない。

次第に、薬指は蒼白くなり、氷のように冷たくなった。

ヤバい。

「あ、ほんと、今回は、やめときます、すみません、ごちそうさまでした !」

I氏は、残念を通り越して、恨めし気ですらあった。

店を出て、I氏から。

つまり、小箱から離れるほど、薬指は、正常に戻っていった。

その後、I氏とは、なかなか会う機会もなく、二ヶ月ほど経った。

I氏についての話をモデルのバイト仲間から聞いた。

「はい?! いつ!」

さて、話したものか・・・。

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