聞かなかった話

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今日はサリーさんが東京に住んでいた頃のお無しだよー!

【怖い話】聞かなかった話

聞かなかった話

私は、東京、江東区は、門前中町。

永代橋の近くのアパートに住んでいた。

そのアパートから、歩いて5分ほどのアパートに、私の知人が住んでいたのだが。

「引越ししたい」

「はい?」

呼び出された喫茶店で、いきなり言いだした。

「もう、無理!」

何が無理なのか。

仮に、A子としよう。

A子は、私のバイト仲間である。

「無理だから、もう!」

「はぁ、だから、何が無理?」

つまり、よくありそうな話で。

「出るの」

「ほう」

深く聞きたくはなかった。

「まあ、いいんじゃない、引っ越せば?」

A子は、お化け並みに恨めし気な顔をした。

聞きたくないなぁ。

「だから、出るから、もう、だめ!」

「うん、わかった、引っ越そう」

「聞いてよ!」

「いやだ!」

私は、なぜか。

頑としてA子のお化け話を聞かなかった。

その後、何の因果か私の方が引っ越しの機会があった。

A子に引っ越しの報告をしようと思いつつ、中々会うこともできないまま。

けっきょく、1年半。

会わずじまいだった。

引っ越しのドタバタも収まり、何人かの知人と、青山で会うことになった。

久しぶりであったので、さんざか馬鹿話に花を咲かせていた。

「ねぇ、A子の話、聞いた?」

久しぶりに聞く名前であった。

「どした?」

A子は、数人の知人に、引っ越ししたい、と言いつづけていたらしい。

だが、なぜか、引っ越しできない。

私と縁遠くなっている間、

A子と会っていた知人は、A子が、日に日に憔悴していくのを案じていたという。

「そういえば、さ、A子、アパート、どうして引っ越ししたいか言ってた?」

知人たちは、一斉に、首を横に振った。

「何も」

「聞いてない」

その後の話。

A子は、精神を病んで、故郷に帰ったらしい。

A子の部屋に、何が「出た」のか、どうして、私は、絶対に聞きたくなかったのか、

わからないままである。

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