天狗と少年

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サリーさんの中学生時代に遭遇した不思議な少年のお話だよー

【怖い話】天狗と少年

天狗と少年

この話は、ある不思議な少年のことだ。

私が中学生の頃、下校時の道すがらで痩せっぽちの少年と出会った。

秋口だというのに、白いランニングシャツに半ズボンという季節感のない格好で、ぼんやりと高い杉の木のてっぺんを見上げている。

知らない顔であったが、つい、何か見えているのか?と思って、私も杉の木のてっぺんを見てしまった。

別に、何もない。
午後の青空と千切れ雲くらいなものだ。

しかし、少年は、ただ、ただ、身じろぎもせずまま杉の木のてっぺんをじっと見ている。

何を見てるんだ?

すると少年は、いきなり妙に元気な声を出した。

「うん、そうか! 気ぃつけてなっ!」

少年の声は、実にはきはきとしていた。

何が気ぃつけてなのか?

いや、何より、誰に向かって言ったのか?

少年は、ぽかんとしている私に気がついて、にかっと笑った。

私は好奇心を抑えきれずに聞いた。

「あの、あのさ、誰と話してたん?」

少年は、ケラケラと笑って遥か向こうの山を指差した。

「天狗がおったけ、見よったんよ!」

「天狗?」

ここで、まあ、子供の言うことだから、と聞き流せない年端の小娘であった私は、呆れた声を出してしまった。

「天狗とか、そんなん、おると?!」

「おるよ! 英彦山から飛んで来たち言いよった」

はぁ、英彦山から・・・。

英彦山は、昔々から修験道の聖山である。

天狗にまつわる昔話も多かったが、当時の私には、まったくピンと来なかった。

少年は、そのまま走り去ってしまった。

それから1ヶ月ほど経ったか。

また、下校時にあのおかしな少年を見た。

が・・・。

3人ほどの小学生男子が、少年に向かってやいのやいのと囃し立てていた。

いじめられているのか、とも思ったが、少年は笑っている。

「うそつきがおる!」

「うそつき! うそつき!」

あぁ、あぁ、まあ、少年が言われそうなセリフだ。

天狗と会話している、と言うのだから。

少年が、可笑しそうに笑っているせいか、1人の男子がイラついたように少年を突き飛ばした。

おっと!

私は、そろそろ、割って入るべきか、と一歩踏み出した。

しかし、少年は、仰向けに転がったまま、ケラケラと高笑いをした。

私は、少々だが、ゾッとした。

少年をいじめていた男子たちも、一瞬、ひるんだ。

「こいつ、へんなやつ!」

「気違いやん!」

1人の男子が、少年を蹴ろうとし時だ。

ゴツッ!

少年を蹴ろうとした男子の頭に何かが落ちて来た。

男子は、痛さのあまりか無言のまま、頭を押さえてしゃがみこんだ。

2人の男子は、唖然として見ていた。

しゃがみ込んだ男子の傍らには、こぶし大の真っ黒い石が転がっている。

私も唖然とした。

頭頂から出血し始めた男子は、鳴き声を震わせてぺたんと地面に腰を落とした。

2人の男子は、顔を見合わせた後、私と同じように空を見上げたのだ。

どこから、石が飛んできたのか、わからなかったからだ。

もちろん、空には何もない。

「いでっっ!!」

もう1人の男子が、側頭部を押さえて転んだ。

ごつごつとした真っ黒い石が転がった。

「ぅぅわっ!!」

もう1人の男子は、その場から走り去った。

私は、何かは知らないが、何かが怖くて近寄れずにいた。

頭から出血した2人の男子は、泣きながらじたばたと立ち上がり、その場を駆け去って行った。

私は、ようやく声が出せた。

「おい、大丈夫か!」

少年は、くるっと半身を起こして、また、ケラケラと笑った。

「アハハハ!  ありがとう!  アハハハハ」

少年は、空に向かって礼を言うと、立ち上がった。

そして、私の方を向いて、言った。

「おねぇちゃん、見えんの?」

「え?」

私は、頭上で重い塊のような風を感じて思わず空を見た。

何かがいる、でも見えない。

息が詰まりそうになり、冷や汗が浮いた。

ワッハッハッハッハッ!!

雷のような高笑いが破れ鐘を打ち鳴らされたように耳元で鳴り響いた。

あまりの衝撃で全身が痺れた。

うっ!

「アハハハハッ!」

ワッハッハッハッハッ!!

少年と”何者か”の高笑いが、一瞬の旋風と共に飛び去った。

私は、呆然としてその場に立ち竦んでいた。

誰もいない。

少年と見えない何者かは、いなくなっていた。

残されていたのは、血に濡れた真っ黒い石だ。

けっきょく、私は、少年がどこの子であったのか、全くわからないままだ。

お願いとお約束

怪談朗読をされておられるYoutuberの方々。
サリーさんの怖い話を朗読していただけたら幸いです。
その時は、一言ください。そしてHPのリンクを貼ってください。
約束だよ!!

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